「文化財防火デー」に合わせて1月27日、周南市湯野の県指定文化財「山田家本屋」(周南市大字湯野)で消火訓練が行われた。主催は、山田家本屋保存会、周南市。
1949(昭和24)年1月26日に法隆寺(奈良県)の金堂が焼失したことをきっかけに制定された文化財防火デー。同訓練は、地域住民に初期消火活動の重要性と文化財への関心・理解を深めてもらうことを目的に毎年行っている。
この日は、湯野小学校の3・4年生と地域住民が参加。敷地内の屋外から出火した想定で、近くの足湯からくみ上げた湯水をバケツリレーで運び消火活動を行った後、屋外消火栓のホースを使った放水訓練を行った。
参加した湯野小学3年生児童の一人は「バケツリレーは初めて。水をかける場所が高いので難しかったし、どんどん水が来るので持つのが重くて大変だった」と話していた。
周南市西消防署西部出張所消防士長の渡邉浩和さんは「バケツリレーは昔からあるシンプルな消火方法だが、実際にやってみると水の量や渡し方で難しさが出てくる。行きと戻りの人を分けたり、グルグル循環できる仕組みを作ったりすることが大切。訓練を重ねて改善していくことで、いざというときに役立ててほしい」と話す。
山田家本屋保存会の河野貞男さんは「バケツリレーではうまくいかない部分もあったが、そうした経験を通じて課題が分かることも訓練の成果。山田家本屋は木造の建物で火に弱い特性がある。地域の皆さんと協力して、防火意識を高め、文化財を守っていきたい」と話す。