8月19日に全国公開が始まった映画「凪(なぎ)の島」の監督や出演者らによる舞台あいさつが21日、下松市の映画館「MOVIX周南」(下松市中央町)で開かれた。
下松市のケーブルテレビ「Kビジョン」(下松市瑞穂町2)の開局25周年記念事業。同社と映画の企画・制作・配給を手がける「スールキートス」(東京都)が共同製作した同映画。監督・脚本・編集は光市在住の映画監督・長澤雅彦さんが務める。
山口県の瀬戸内海に浮かぶ小さな島を舞台とした少年少女の心の成長や心温まる島の人々や家族の姿を描く、ひと夏の物語。両親の離婚を機に、母の故郷に移住することになった主人公の凪役は、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」でヒロイン・ひなたの幼少期を演じた新津ちせさんが務める。このほか、凪の母役に加藤ローサさん、父役にチュートリアルの徳井義実さん、凪の担任教師役に島崎遥香さんらが出演する。
撮影は昨年9月、下松市笠戸島深浦地区を中心に周南市、柳井市などで行われた。
舞台あいさつは、午前午後の2回行われ、長澤監督、新津さん、同級生・山内健吾役の角忠聖さん、漁師役で出演した地元在住の室積光さんと元木行哉さんが登壇し、撮影時のエピソードや見どころを紹介した。
長澤監督は「昨日は新宿で舞台あいさつをし、多くの人に見ていただいた。今も全国でこの凪の島を見ていただいていると思うと喜びもひとしお。ホームである地元の皆さんにも映画を楽しんでほしい」とあいさつ。
オーディション時の話に及ぶと、新津さんは「山口県は母のふるさとでもあり、絶対に凪になりたいと強い思いでオーディションを受けた」と話した。長澤監督は「この映画では10歳の少女が主役だが、周りの大人たちを描きたかった。大人は本当に大人だろうかというのがテーマの一つであり、意志があり、精神的な強さを持っている子どもたちを選んだ。子どもたちは、演技が上手なのはもちろん、役を乗り越えてきてくれるキャラクターの強さを感じた」と振り返る。
映画の見どころについて、新津さんは「下松のおいしい食べ物にも注目してほしい。島でのバーベキューや朝ご飯のシーンで出た地元料理のチキンチキンごぼうがおいしかった」と話し、会場を盛り上げた。
長澤監督は「笠戸島ではこれまで映画を何本も撮影したし、野外映画祭も開催した。愛着がある笠戸島での集大成となる映画を楽しんでほしい」と呼びかける。