養殖用トラフグの「歯切り」作業が6月8日、下松市笠戸島の「下松市栽培漁業センター」裏の沖合で行われた。
トラフグは上下に2枚ずつ鋭い歯が生え、養殖する際にいかだの中で化繊網をかみちぎって逃げ出す恐れがあるほか、お互いの尾ひれをかみ合うことがあるという。同センターでは毎年1度、種苗を仕入れた時点で上下どちらかの歯を切る「歯切り」作業を行う。
この日作業したトラフグの稚魚は、前日に長崎県から到着したばかりの3500尾。生後3カ月で、体長は約10センチ、重さは17~18グラム。小雨が降る中、養殖いかだの上で職員3人が作業し、歯以外を傷付けないよう幼児用の爪切りはさみを使い、2、3秒の間に手早くトラフグの歯を切った。
3500尾のうち2000尾は、7月に周南市粭島付近の海に放流する予定。残りの1500尾は市の特産品「笠戸とらふぐ」として2年後の春から夏にかけて市内の宿泊施設や飲食店などに出荷する。
同センター職員の岡村康平さんは「長い時間手に持っていたらトラフグが弱るため、素早く歯を切ってストレスと与えないようにしている。トラフグは冬が旬になるが、『笠戸とらふぐ』の通年流通を試みており餌の改良なども行っている。夏のトラフグも楽しんでもらいたい」と話す。