
企画展「戦中・戦後のくらし」が6月2日、周南市民俗資料館(周南市中畷町)で始まった。
同展は、戦後80年を契機に周南市が今年12月まで展開する事業「戦後80年 想(おも)いをつなぐ、未来へ。」の一環。戦争を体験した世代が少なくなる中、戦争の記憶と教訓を地域で共有し、平和の大切さや命の尊さを次世代へ伝えていくことを目的としている。
周南市は、太平洋戦争末期に特攻兵器「回天」の訓練基地が置かれた大津島を有し、徳山地区では大規模な空襲を受けるなど、戦争の歴史が深く刻まれている。市内には、回天記念館や徳山空襲に関する資料が残され、戦争の実態を伝えている。
同展は、戦時中から戦後にかけての人々の暮らしに焦点を当て紹介する。会場では、陶器製の定錘(じゅうすい)や湯たんぽ、配給切符、銅からアルミや錫(すず)に変化した貨幣、軍服や日章旗、もんぺなどを展示。体験コーナーでは、メンコやベーゴマといった当時の遊び道具にも触れられる。徳山空襲を体験した4人の証言映像「未来に伝える徳山空襲と戦争の記憶~平和への願い」も上映し、焼け野原となった市街地の地図や写真も並べる。
小川実館長は「戦争を知らない世代にも、自分たちの町で何が起きていたのかを知ってほしい。当時の生活道具や遊びを通して、戦争を遠い出来事ではなく、自分の暮らしとつながったものとして感じてもらえたら」と話す。
8月13日には、子ども向けワークショップ「戦後80年を考える」を開催。戦争体験者との対話やすいとんの試食、昔の遊び体験を通して、戦争や戦後の暮らしに理解を深める。対象は小学生~中学生と保護者で、定員は20人。
開館日は月曜・水曜・金曜・第1・第3土曜(祝日を除く)。開館時間は9時30分~16時30分。入館無料。9月29日まで。