下松市教育委員会が12月4日、市指定史跡「天王森(てんのうもり)古墳」から古墳時代中頃の金製垂飾(すいしょく)付き耳飾り2点が出土したと発表した。
天王森古墳は、6世紀前半に築かれた全長約45メートルの前方後円墳で、当時この地域を治めていた豪族・都怒国造(つぬのくにのみやつこ)の墓とされる。2020年の調査では、西日本有数の形象埴輪群が見つかっている。
本年度の発掘調査は10月に開始。古墳のくびれ部分にある「造り出し」付近から、県内初確認となる金製耳飾りや、弥生時代の土器、中世の土師器(はじき)、15世紀後半~16世紀前半の物とみられる青磁などが出土した。
耳飾りは金製で、直径約2センチの円環に小さな垂飾が付いた装身具とみられる。文化財専門職員の林弘幸さんは「朝鮮半島で製作された可能性が高く、被葬者が対外交渉に関わる有力者だったことを考える上で重要な手掛かりになる」と話す。
下松市古墳保存整備等検討委員会会長で花園大学教授の高橋克壽さんは「これまで天王森古墳は形象埴輪(はにわ)に基づく評価が中心だった。今回の耳飾り出土で、文化財としての価値がより高まった」と話す。
市教育委員会は12月13日、一般向けの現地説明会を開き、今回出土した耳飾りの公開を行う。開催時間は、10時、13時、15時の3回。参加無料。雨天時は市役所5階で行う。