光市室積の鼓ケ浦海岸で6月7日、クサフグの産卵が確認された。
室積半島の南側、杵崎鼻から赤崎鼻にかけての沿岸は、クサフグの産卵地として県の天然記念物に指定されている。光市教育委員会によると、毎年5月中旬から7月上旬にクサフグ産卵が確認できる。最盛期は5月下旬から6月中旬にかけての新月または満月前の中潮の日。時間は満潮時の2~3時間前に見られる。今年の推定日は6月6日、7日、21日、22日の4日間。過去の観測では1日で最大4000匹が確認できたこともあるという。
観測推定日初日の6日、地元住民や小学生など約40人が観測会に集まるが、観測推定時刻を1時間過ぎてもクサフグが現れる気配はなく、産卵は確認できなかった。同教育委員会の河原剛さんは「10年間、鼓ケ浦海岸での観測を続けているが初日に観測できなかったのは今日が初めて。フグ次第なのだが、何だか申し訳ない気持ち」と困り顔。下関市の水産大学校から来た学生3人は「フグの研究をしているので、一度は見てみたかった。明日は来られないので残念」と悔しがる。
翌7日は小雨が降り波も高く、悪コンディションのため市民向け観測会は中止。推定時間から遅れること10分、17時20分にクサフグの産卵開始が確認された。波打ち際に約250匹のクサフグが集まり、体長約15センチのメスが小石のすき間に黄色い卵を産み付け、そこに体長約10センチのオスは打ち寄せる波に合わせ放精。海面は白く濁り泡立った。河原さんによると受精後、卵は砂利層の中に入り込み、3~4日後にはふ化。大潮に乗って沖へ泳ぎ出ていくという。
河村さんは「波があったので今日も来ないかと心配していた。昨日のほうがよっぽど産卵に適した環境だったのに不思議。取りあえず一安心」と胸をなで下ろす。
今後の産卵推定日時は、21日16時20分、22日17時。当日の海況や気象条件により確認できない場合もあるという。