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光市で打瀬船建造航海プロジェクト 日本一周やハワイ島航海目指す

打瀬船「内海丸」

打瀬船「内海丸」

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 一般社団法人「瀬戸内伝統航海協会」(平生町佐賀、0820-58-0339)が1月19日、光市室積のカフェ「Quyana(コヤーナ)」で打瀬船(うたせぶね)建造航海プロジェクトを発足した。

打瀬船「内海丸」とホクレア号

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 「打瀬船」は明治初期から1933(昭和8)年頃まで瀬戸内海一帯で活躍した帆走漁船。漁場で帆を張り、横から風を受けて底引き網を引く。光市牛島もかつて打瀬船の漁港として栄えたという。同プロジェクトでは打瀬船を新しく建造し、日本一周やハワイ島への航海を目指す。

 アウトドアガイドで同カフェ店主の原康司さんによると、ハワイで建造された伝統航海カヌー「ホクレア号」の日本来航がプロジェクトを企画したきっかけという。

 原さんは「ホクレア号は、伝統船が復活したというだけでなく、ハワイ人の起源を証明し、民族の誇りを取り戻すきっかけを与えた船。自分たちも今、失われようとしている打瀬船を復活させ、瀬戸内の自然環境と海洋文化の再生を目指していくべきなのではと考えるようになった。ホクレア号に『次は君たちの番だよ』と語りかけられたように感じた」と振り返る。

 「現在、実際に航海できる打瀬船はない」と原さん。1989年に広島県福山市内海町で観光用として復元した打瀬船「内海丸」は、ホクレア号の来航時に歓迎イベントで併走したのを最後に陸上展示されている。

 建造する打瀬船は全長20メートル超、前幅4メートル、帆柱10メートルを2本立てる2枚帆の船。エンジンは搭載せずにソーラー電池での発電システムや長期航海に耐えられるような帆や綱の改良は加える。建造期間は2年。2020年の完成を目指す。

 建造資金として約5,000万円を想定。同プロジェクトの賛同する個人や企業団体から寄付金やサポート会員の募集し、今後はクラウドファンディングなどで広く呼び掛けることも予定しているという。

 原さんは「打瀬船の造船技術や航海術を受け継ぐには今回が最後のチャンス。瀬戸内の豊かな自然と海に根差した伝統文化を次世代の子ども達へ引き継いでいきたい」と意気込む。

 年会費は個人=1万円、団体=3万円。寄付やサポート会員入会は瀬戸内伝統航海協会ホームページで受け付ける。

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