花岡八幡宮境内にある「閼伽井坊(あかいぼう)多宝塔」(下松市末武上)で1月26日、下松市消防本部・下松市消防団による消防訓練が行われた。
文化庁などが連携して展開する文化財防火デーに伴う行事として行われた同訓練では、下松市消防本部、消防署、下松市消防団、閼伽井坊住職、花岡八幡宮宮司ら20人が参加した。例年、花岡小学校の児童らが参加し、消火器の取り扱い訓練を行っていたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大に考慮し、縮小して行った。
国の重要文化財に指定されている多宝塔は、高さ13.5メートルの二重の塔。内部には、金剛大日如来が祭られているほか、江戸中期に度々修理されたことが分かる棟札(むなふだ)5枚が保管されている。
この日は、消防本部による立ち入り検査を行った後、多宝塔近隣の山林が火災となり延焼の危険が迫っている状況を想定した訓練を行った。自宅の受信機・モニターで火災を知った閼伽井坊住職の三池孝道さんが多宝塔に駆けつけ、保管してある文化財を搬出する流れを再現し、確認した。
消防隊員が消防車両からホースを延ばし、火元を目掛けて放水。消防団員は、境内2カ所に設置された「放水銃」から一斉放水し、本番さながらの消火活動を行った。
三池さんは「今年は小学生らが参加できず残念だったが、コロナ禍でも火災は起こる。防火施設の老朽化も考えながら、日ごろからメンテナンスしていきたい」と話す。
下松市消防本部予防課長の西坂信浩さんは「コロナも火災も予防が大切。早期発見や逃げ遅れをなくすためにも、住宅用火災警報器を設置し、火災予防に努めてほしい」と呼び掛ける。