山口県下松市笠戸島の「下松市栽培漁業センター」が6月3日、笠戸島の沖合で養殖用トラフグ5000匹の「歯切」作業を行った。
水産資源の保全を目的に特産品の「笠戸ひらめ」をはじめ、オニオコゼ、キジハタ、マコガレイなどを育成する同センター。約20年前からトラフグの試験養殖を行い、育てたフグを「笠戸とらふぐ」のブランドで出荷している。
上下に鋭い板状の前歯を4枚持つトラフグが育つ中で、互いにかみ付き合ったり傷付け合ったりするのを防ぐため、稚魚のうちに歯の一部をカットする歯切作業を毎年6月上旬に行っている。
この日は歯切した稚魚は、体長10cmほど育った生後3~4か月の稚魚5000匹。職員3人は、波で揺れる養殖イカダに座り込み、ふくれっ面の稚魚を次々につかんでは手際よく歯をカットした。
トラフグ養殖班長を務める旗手友紀さんは「少しでも成長を速めるように工夫していきたい。今年から米川産ゆずの果汁をえさに混ぜて与える予定。おいしいフグに育ってくれたら」と話す。
5000匹のうち2500匹は7月に周南市粭島付近の海に放流する予定。残りの2500匹は1年半かけて体長40センチ・重さ2キロまで育成し、年末に市内の宿泊施設や飲食店などに出荷する予定。