周南市美術博物館(周南市花畠町、TEL 0834-22-8880)で5月12日、第31回林忠彦賞を受賞した写真家・新田樹(たつる)さんの作品展が始まった。
同賞は、戦後に写真界の第一線で活躍した周南市出身の写真家、林忠彦の業績をたたえ写真文化の振興を目的に周南市と周南市文化振興財団が1991(平成3)年度に創設した。「社会が求める、その時代を一番象徴する写真を選び出そう」をコンセプトにアマチュア・プロを問わず写真展、写真集などを対象に募集し、73点の応募があった。
今回は、サハリンとそこに生きる残留韓国人・朝鮮人やその配偶者の日本人に焦点を当て撮影した写真集・写真展「Sakhalin(サハリン)」を発表した新田さんが受賞した。2010年から2018年にかけ、サハリンに残り暮らしている人々の現実を残すために取材を重ね、風景や暮らしぶりを撮影。同作品は「戦争の歴史に翻弄(ほんろう)された人々の姿が写真の行間から浮かび上がる」と評価された。同写真展では写真集に収録掲載された全110点の中から64点を展示する。
写真展のオープンセレモニーで新田さんは「日本の高度経済成長期と同じ時代に、サハリンで日本の言葉を話す人々が暮らしていたこと想像してもらえれば。遠い地での遠い過去の出来事と受け止められないよう、身近に感じてもらえるよう心を砕いた。自分の人生と重ね合わせてもらうと、理解が深まると思う」と話した。
開館時間は9時30分~17時。入場無料。月曜休館。今月21日まで。