養殖用トラフグの「歯切」作業が6月10日、下松市笠戸島にある下松市栽培漁業センターで行われた。
トラフグは板歯と呼ばれる鋭い板状の歯を上下顎に4枚持つ。トラフグ同士、いけすの中で尾ひれを傷付け合い、病気にかかってしまう可能性があるため、稚魚のうちに歯の一部をカットする。
この日は10時から、職員3人が同センター裏の沖合に浮かぶ養殖イカダに座り込み、幼児用の爪切りはさみで、体長約10センチの稚魚4000尾の「歯切」を行った。
トラフグ養殖班長を務める旗手友紀さんは「できるだけ手早く作業し、フグにストレスを与えないようにしている。今後は飼育方法を改善し、より成長を早めたい」と意気込む。
4000尾のうち2500尾は7月に周南市粭島に放流、残りの1500尾は育成し、年末に市内の宿泊施設や飲食店などに出荷する予定。
同センターでは、水産資源の保全を目的に、オニオコゼ、キジハタ、マコガレイを種苗生産するほか、ヒラメ、トラフグ、クルマエビ、ガザミ、アカガイ、アワビ、カサゴの稚魚の育成、周南市や下松市の海などに放流する。