カーボンニュートラルに向けた取り組みの説明会と超小型電気自動車(EV)の試乗会が3月10日、出光興産徳山事業所(周南市新宮1)で行われた。
同社初の製油所として1957(昭和32)年に操業を開始した徳山事業所。2014(平成26)年に石油精製機能を停止するも、ナフサを原料に、エチレン、プロピレンなど各種石油化学製品を生産し、周南コンビナート各社へ原料供給を継続している。
2050年に自社操業に伴う二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す「カーボンニュートラル」に取り組む同社。徳山事業所での取り組みとして、2020年12月に完成した、既存設備より約30パーセントの省エネルギー効果を持つナフサ分解炉の新設に加え、今年12月に完成するバイオマス発電所、既存設備を活用しアンモニアの貯蔵・供給と自社活用を目指すサプライチェーンの構築などを紹介した。
同社ではこのほか、次世代モビリティ構想として、昨年末から同事業所にタジマモーターコーポレーション製の超小型EV4台を導入。全長2.5メートル、幅1.3メートル、高さ1.6メートルの2人乗りで、航続距離は100キロ。構内のみ走行可能で、事務所棟の移動や設備点検などに活用している。
現在、タジマモーターコーポレーション(東京都中野区)との合弁会社「出光タジマEV」で、4人乗り超小型EVも開発。今年夏以降の完成・量産化を目指しており、一般利用者へサブスクリプションやカーシェアでの提供を予定している。全国6300カ所にある同社サービスステーションは、メンテナンスや社会課題を解決する場として活用していく方針という。
徳山事業所の三品鉄路所長は「徳山に現在約90台ある事業所車両は今後、超小型EVや水素自動車へ切り替えていく。これまでも周南コンビナート企業の一員として、地元と共に歩んできたが、今後の脱炭素社会、持続可能な社会の構築に向け、地域に寄り添いながら責任ある変革を遂げていきたい」と話す。