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周南で燃料電池車のカーシェアリング 地元工場から出る高純度水素を利用

燃料電池車ホンダ「クラリティフューエルセル」 水素充填施設「イワタニ水素ステーション山口周南」

燃料電池車ホンダ「クラリティフューエルセル」 水素充填施設「イワタニ水素ステーション山口周南」

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 山口県周南市で11月1日、水素で走る燃料電池自動車(FCV)の市民などを対象としたカーシェアリング事業が始まった。

燃料電池車ホンダ「クラリティフューエルセル」 車内の様子

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 同事業は、水素を活用した機器の普及と低炭素社会の実現を目指す環境省の委託事業の一つ。市民や市内に通勤通学する人が対象。登録、予約すれば平日9時~16時、月5回まで無料(燃料の水素代も含む)で利用できる。市民を対象とした無料での燃料電池車カーシェアリング事業は全国初という。共同実施者でもある総合化学メーカー「トクヤマ」や「東ソー」の周南コンビナートにある苛性ソーダ工場から発生する高純度の水素を利用する。

 FCVは、燃料電池に水素と酸素を取り込み、化学反応させて作った電気でモーターを回して走る。CO2の排出はゼロで水だけしか出さないため「究極のクリーンカー」と呼ばれる。使用車種はホンダ「クラリティフューエルセル」(乗車定員5人)。車両価格は約770万円、リース専用車両で一般には発売されていない。走行距離はカタログ数値として750キロメートル。

 試乗開始3日目の11月4日、周南経済新聞の女性記者が試乗した。

 車両の引き渡し場所は同市徳山港町庁舎。利用契約書を結び、同市商工振興課の辻亮平さんより利用方法や運行前点検・注意点の説明を受け乗車。シフトレバーやサイドブレーキのバーが無く、ドライブ、パーキング、サイドブレーキなどは全て電子制御のボタンで操作する。モニターには水素1キログラムあたりの平均燃費86.9キロメートル、航続可能距離は387キロと表示。辻さんによると「今までの乗車状況などによって算出される数値なので市街地や短距離の利用が多く、高速道路や長距離移動で利用すると、まだまだ伸びていくのでは」と話す。

 運転の印象について、「走りだしはなめらかで、当然ながらエンジン音が無く静か。アクセルを踏んでからモーターに伝わるまでが早く加速がスムーズで力強い」と話す。運転中の視野移動を少なくするため速度や道路標識をフロントガラスに投影するヘッドアップディスプレーや見えにくい左折時のサポート用ビデオカメラなど最新のシステムを装備。周南市街地から下松市笠戸島まで約50キロを走行。休憩中に燃料自動車を見た車好きの人から熱く話しかけられる場面もあった。

 利用後は、中国地域唯一の水素充填施設「イワタニ水素ステーション山口周南」(周南市鼓海1)で充填。満タンで5キログラム、3分程度で充填できる。1キログラム当たりの水素の費用は1,100円。「街中でも運転しやすいし乗り心地も良い。有給休暇を取って水素ステーションのある北九州まで長距離ドライブしたい」とも。

 予約状況は、11月はすでに埋まっており、12月も半分程度の予約が入っているという。辻さんは「周南市は全国トップクラスの水素生成地だが、水素社会や燃料電池といわれても、これまではなかなかイメージが分からなかったと思う。広く市民に体験してもらうことで身近に感じてもらえれば」と話す。予約申し込み、問い合わせは商工振興課企業活動戦略室(TEL 0834-22-8223)まで。

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